B-BLUE

BACK | NEXT | TOP

  1-5 海上のレース  

町の中を歩く3人、町はたくさんの人々で賑わい、たくさんの車が走っている。
「お兄ちゃん達!」
小さな子どもに呼ばれた。
いきなり声をかけられてびっくりしながらも、リュウトが何?と聞く。
子供は嬉しそうに、
「ねえ、お兄ちゃん達、旅の人だよね!ってことはセイルレースに参加するんだよね!?いいなー。かっこいい!」
もちろん3人には意味がわからなかった。アルスが、
「その、セイルレースってなんだ?」
子供はびっくりして答える。
「え?知らないの?セイルレースってのは、ヨットみたいな船で、この近くにある島までいって、そこのほこらにある勇者の石を持ってくるんだよ!1番が勝ち!勝った人はね、昔この町を救った伝説の勇者の剣がもらえるんだ!」
「今は旅人さんのほとんどがこのレース目的で来るんだよ!」
そして、一息おいて、
「でも、僕はまだ小さいから出られないんだ。島の近くには魔物もいて危ないんだって。だから僕は、強くなって、そのレースで優勝するのが夢なんだ!」
「それはどうやって参加するのかな?」
フロウが聞く。
「それはね、この近くの市役所に行くといいよ。案内してあげる!」

3人は子供に案内され、市役所へ行った。

「船はお持ちですか?」
係りのお姉さんが聞く。
「いいえ、持ってないと駄目なのですか?」
「いえ、船を持ってない方がほとんどですので、こちらで貸し出しております」
丁寧な対応のお姉さん。さらに、
「3人で参加するのですか?船には5人まで同乗出来ますよ」
アルスが2人に聞く。
「どうだ?ここの魔物がどんな奴かはわからない。だから、1人で乗るよりは、3人で乗ったほうが良いと俺は思う」
「大丈夫!」
リュウトとフロウは快く返事をした。
「一つ聞いておきたいのですが、優勝賞品の剣は、どんな物ですか?」
お姉さんは首を横に振る。
「それは私たちからはお教えできません。ただ、強さを極めるなら、誰でも欲しくなるような、名剣だそうです」
「予選レースは明日です。船は隣の船舶倉庫にあるものを使ってください」

次の日、

町はより一段と賑わい、町の人たちの頬は紅潮している。
パパパパパッパー
力の抜けるようなラッパの音が、海沿いの会場に響きわたる。
「こちら、××TVです!中継は上空より気球からお送りしています!今回はセイルレース開始から1000回目の記念大会です!そのためか、出場者も過去大会最多です!本戦賞品、勇者の剣の効果でしょうか!?さあ、そうこうしているうちに、あと5分でスタートです!」
アナウンスの姿が大きなスクリーンに写しだされる。

「さあ!スタートまで5分を切りました!ここで、予選レースのルールを説明します!
今大会は、出場者多数のため、予選レースで勝ち残った100組が本戦の出場権を得られます!予選では、3か所に設置されたチェックポイントを回り、そこで配られる、カードを3つ、先に集め、ここに戻ってきたチームが勝ちという、いたって簡単なルールです!
 しかし!!それぞれのチェックポイントには、こちらでプログラミングされた、仮想の魔物と戦うことになります!本戦のコースには魔物がいます!予選で勝てないなら、本戦で出るであろう魔物には、勝てないということです!」

画面が会場にいる司会に切り替わる。
「こちら、会場です!だんだん盛り上がって来ています!今、予選レースの位置を決めています!レースのスタート位置はくじで決められます!……でましたっ!1番前列は、前年度の優勝者、過去大会では8連覇の偉業を達成した、アラムさんです!今大会で優勝すれば、9連覇、359年ぶりの記録更新となります!以上会場からでした!!」

「アルス〜怖い〜水、嫌〜いぃ」
「うるさい!溺れなければ大丈夫だ!」
「ア、 アルス……」
リュウトはアルスを止めきれなかった。
「でもぅ〜天空人といっても猫は猫だよぅ」
情けないフロウの声。
「せっかく、スタート位置が13番目なんだ、飛ばすぞ!」
アルスはやる気満々だった。

司会の声が聞こえる。
「さあ、スタートまで残り少なくなってきました!!スタートはこの国の姫である、バルサム姫の持つ、旗で始まります!さあ、カウントダウンです!さあ、皆さんも一緒に!」

「5!」

「4!」

「3!」

「2!」

「1ー!」

バルサム姫の旗が空高く上がった。

「スタート!!」
BACK | NEXT | TOP
Copyright (c) 2011 emiki All rights reserved.
 

-Powered by HTML DWARF-

inserted by FC2 system